この記事では、A320のコールド&ダークから機体の起動手順を初心者の方にもわかりやすく解説しています。
この記事は、実際のエアバスパイロットの方とお話をしながら、作成したものです。
手順ももちろんですが、スイッチの意味なども丁寧に解説しています。
今回は、完成度の高いFlyByWire「A32NX」という無料のアドオン機体を使って、MSFSのA320の起動手順を丁寧に解説してきますよ。
ぜひ最後までご覧ください。
A320を飛ばすための準備
まずはMSFSでA320を飛ばすための準備をしましょう。
FlyByWireの「A32NX」をインストール
MSFSではデフォルトでA320が収録されていますが、完成度があまり高くないんです。
そのため、本格的に操縦したい方は、FlyByWireというチームが制作した「A32NX」をダウンロードして使用するのがおすすめ。
ほぼ全てのスイッチを操作できますし、航空機の挙動が現実に近くて完成度がかなり高いですよ。
しかも完全無料!
FlyByWire「A32NX」のインストール方法やリバリーを知りたい方は以下の記事をご覧ください。
フライトコントローラーを購入
フライトコントローラーは、航空機の操縦桿を模したコントローラーで、フライトシミュレーションゲームをより直感的に楽しむことができる必須アイテムです。
特に旅客機の操縦となると、マウス・キーボードやゲームパッドだけでは操作がかなり難しくなります。
そのため、専用のフライトコントローラーを購入しましょう。
A320を操縦するならこの商品が特におすすめです。
以下の記事では、他のフライトコントローラーはもちろん、コントローラーの失敗しない選び方も紹介していますよ。
ぜひご覧ください。
フライトプランを作成
地味に大切になってくるのが、フライトプランの作成です。
初心者の方でも簡単にフライトプランを作成できる「SimBrief」というブラウザーのツールがおすすめです。
simbriefの使い方は以下の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
出発空港・航空機を決める
さていよいよここからは、A320で本物さながらフライトする方法を解説していきます。
ワールドマップで出発空港を選択
まずはゲームのホーム画面の右上の「ワールドマップ」を開いてください。
ここで出発したい空港を選択しましょう。
航空機と塗装を選択
出発空港が決まったら、次に航空機を選択します。
左上の航空機のボタンをクリックし、FlyByWireの「A32NX」を選択しましょう。
メニューの一つ下にある「リバリー」というところで、その航空機の塗装を選ぶことができます。
今回は日本を飛びますので、ANAのリバリーにしてみました。
ANAなどのリバリーは、デフォルトでは入っていません。
こちらのサイトで、たくさんのリバリーアドオンを無料でダウンロードできるのでぜひ使ってみてください。
天候をカスタマイズ
自分の好きな天候にカスタマイズできます。
初心者の方は、快晴&無風でプレイするのがおすすめです。
ここまでできたら、「フライト」ボタンをクリックしましょう。
機体のチェック
機体のロードが終わったら、フライトの準備をしていきましょう。
コールド&ダーク状態なので、まずは航空機の電源を入れる必要があります。
ただ、その前に電源を入れても大丈夫な状態なのかチェックします。
機体を起動した途端に、急にワイパーなどが動き出したりしないようにするためです。
実機では必ずおこなう項目ですよ。
1. ボトム・ペデスタルの確認
「ボトム・ペデスタル」は、エンジンのスラストレバー周りのスイッチパネルのことです。
まずはボトム・ペデスタルの計器類が適切に設定されているかチェックします。
以下の項目に設定されているかチェックしましょう。
- パーキングブレーキ:セット
- スピードブレーキ:リトラクト(格納状態)
- フラップ:0(格納状態)
- エンジンモードセレクター:NORM
- エンジンマスタースイッチ1&2:オフ
- 気象レーダー:オフ
- スラストレバー:アイドル(0の位置)
2. メインパネルの確認
「メインパネル」は、ギアレバー周りのスイッチパネルのことです。
以下の項目に設定されているかチェックしましょう。
- ギアレバー:DOWNの位置(車輪が降ろされている状態)
3. オーバーヘッドパネルの確認
「オーバーヘッドパネル」は、頭上にあるスイッチパネルのことです。
以下の項目に設定されているかチェックしましょう。
- ワイパー:オフ
- ADIRS:オフ
以上で、機体の起動前のチェックが完了しました。
続いてはいよいよ機体の起動をしていきます。
機体の起動
1. タブレットの起動
コックピット左側にあるタブレットの画面をクリックして、電源を入れましょう。
今のところは起動するだけでOK。
このタブレットはFlyByWire特有のものです。
このタブレットでグランドサービス(ボーディングブリッジの接続やタラップなど)や、燃料の搭載、フライトプランの確認などができます。
フライト中も頻繁に使いますよ。
2. バッテリーとAPUを始動
続いて、機体のバッテリーとAPUを始動します。
バッテリー1&2をオン
電圧が25V以上になっていることを確認して、左から順番に1回クリックしてオンにしてください。
これで飛行機の電源が入りました。
EXT Power(エクスターナルパワー)をオン
これで外部電源に繋ぐことができました。
空港や駐機スポットによっては、外部電源が使用できない場合があります。
その時はこの手順をスキップしましょう。
APUをオン
まずは上のAPUの「MASTER」スイッチをオンにして、3秒ほど待ってから下の「START」ボタンを押します。
APU STARTボタンを押すと「ON」の青色表示になります。
しばらくすると、APUスタートボタンが「AVAIL」という緑色になるので、それまで待ちましょう。
「AVAIL」と表示されたら、APUが立ち上がったことを指します。
航空機のAPU(Auxiliary Power Unit)は、主要エンジンが停止しているときに電力や圧縮空気を供給するための装置です。
通常、地上での航空機の電力、照明、空調、電子機器の動作に必要な電力を供給し、またエンジンの始動を助けるために空気圧力を提供します。
APUブリードをオン
これでAPUから外気を取り入れられるようになりました。
ちなみに、APUブリードスイッチの上にある3つのつまみで、エアコンの温度を設定できますよ。
EXT PWRをオフ
APUで発電できるようになりましたので、外部電源が必要なくなりました。
EXT PWRをオフにしましょう。
ここまできたら、正面がこのような画面になるかと思います。
今まで真っ黒だったらディスプレイが立ち上がっています。
このような部分もかなり実機と同じですね。
3. APUとエンジンのファイアーチェック
次に、APUとエンジンのファイアーチェックをします。
APUやエンジンで火災が発生した時に、しっかりとアラームが鳴るか確認しましょう。
4. ライトの調節
ディスプレイなどが立ち上がったので、次はライトの明かりを調節していきます。
正面のPFD(姿勢表示器)とND(マップが表示されるディスプレイ)の明るさは、以下の2つのノブで調節できます。
ちなみにNDの方のノブは、先端の部分と根本の部分に分かれています。
先端を回すとND本体の明るさ、奥側を回すとウェザーや障害物の明るさを調整できます。
5. ADIRSを起動
続いてADIRSをオフの位置から「NAV(真ん中)」にしてアラインしましょう。
これで航空機の位置を取得できるようになりました。
航空機のIRS(Inertial Reference System)は、機体の位置や姿勢を確定するためのシステムです。
IRSは、慣性計測装置(IMU)とGPS(Global Positioning System)などのセンサーを使用して航空機の移動や回転を追跡し、その情報を用いて機体の現在位置を計算しています。
しばらくすると正面のNDにマップが表示されるようになりますよ。
結構時間がかかるので、その間に続きをやってしまいましょう。
6. その他の左側列の設定
次に、オーバーヘッドパネルの左側列の残りのスイッチ類を設定していきます。
CREW SUPLYをオン
Crew Suplyとは、コックピット用に酸素の供給がされるボタンです。
これで空気が薄い上空でも酸素の供給ができるようになります。
GND CTLをオン
これで、コックピットボイスレーコーダーをオンにできました。
右の「CVR TEST」を長押しするとボイスレコーダーのテストができます。
ピーという音が鳴ったらOK。
CAPT & PURSをオン
これで、非常事態の警報をコックピットからだけでなく、キャビンからも起動できるようになりました。
7. 外部ライト・客室用サインを点灯
続いて、外部のライトと客室用サインを点灯させます。
STROBEとNAV&LOGOをオン
ストロボライトとナブロゴライトをオンにします。
ナブロゴライトとは、垂直尾翼のライトのことです。
昼はあまり関係ないのですが、夜には垂直尾翼にペイントされた航空会社のロゴがよく見えるようになりますよ。
シートベルトサイン・スモーキングサインをオン
客室のシートベルトサインとスモーキングサインをオンにします。
客室の方からポーンという音が聞こえてきますよ。
EMER EXIT LTをARM
これで非常時に、非常用ライトが自動でつくようになります。
オンにしてしまうと常時ついてしまうので、必ずARMにしておきましょう。
8. FUEL PUMPをオン
燃料を供給するためのポンプを全てオンにしましょう。
以上で機体の立ち上げが無事完了しました。
お疲れ様でした!
まとめ
この記事では、実際のエアバスパイロット監修のもと、A320のコールド&ダークから機体の起動手順を初心者の方にもわかりやすく解説しました。
次の記事では、MCDUへフライトプランを打ち込む方法を解説していますよ。
ぜひご覧ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。